事業承継ブログ

【事業承継の基本】9.現経営者が行わなければならない3つのこと
2025.09.21

事業承継を行うためには株式の移転、贈与相続への対策、後継者の育成、許認可の移行、場合によっては相手探しからなど様々な知見も必要になります。これは専門家の協力を得る必要がありますが、逆に専門家のリードに従っていけば、ある程度は進めていける内容になります。その一方現経営者自身が行わなければならない3つの重要なことあります。これは以下の順で行うことを推奨します。

1.まず事業承継を行う期日を設定する

一般的な計画策定では必要な作業積み上げて日程を組むことが多いですが、事業承継の期日に関しては、事業承継を思いついた次に現経営者が自ら設定することを推奨しています。いつまで経営を続けたいのか、万全な状態で経営に取り組めるのはいつまでなのかで考え、詳細を見ずとも、相手が決まっていなくても、まずはイメージでよいので事業承継を行う期日を設定します。理由は事業承継については様々な実施項目があり、期間中の状況変化や調整が想定されます。それら細かい部分を考えだすと前には進めずらくなるからです。一方経営者も人間である以上、健康でいられる期限はあります。体力などが低下すると経営にも影響は出ます。経営者が高齢になるほど業績が悪化する傾向があることは統計で表れています(※)。
※東京商工リサーチの調査
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1190827_1527.html
事業承継では期日はとても重要な要素になります。 最初に期日を設定してしまうことで事業承継を具体的なものとできます。これにより計画を進める重要な一歩とできます。

2.事業承継開始のスイッチを押す

先述のとおり事業承継を前に進めるには様々な知見が必要となります。専門家の協力が必要になります。これに対して2006年頃から経営者の高齢化が顕在化したころから、国や地方公共団体での支援が充実してきています。各都道府県には事業承継・引継ぎ支援センターが設置されて基本的には無料での支援が多くなっています。また公的支援機関での無料相談なども行われています。税理士や中小企業診断士など士業や金融機関、コンサルタント会社での支援を行える専門家も増えました。ただこれらの支援体制があっても事業承継開始のスイッチを押すのは経営者にしかできないことになります。まずは顧問税理士や金融機関、専門家、公的機関などに対しての相談をしましょう。それにより前に進むきっかけになります

3.事業承継の計画に従い、期日はずらさずに遂行する

事業承継の計画策定は株式の移転、贈与相続への対策、経営者の育成、許認可の移行、それに伴う資金の確保、場合によっては相手探しなどがあり、専門的な知見が必要なため、専門家のアドバイスに従って進めることを推奨します(この進め方については別のコラムで説明します)。事業承継計画では「1.事業承継を行う期日を設定する」での設定日付をベースに具体的な実施項目と日程、担当者を設定していきます。

この設定した期日は、実施段階でずらさないことが重要です。
ほとんどの経営者の方は「よい状態」で会社を譲りたいとお話されます。例えば「財務状況をもっとよくしてから譲りたい」、「収益がよくなったら譲りたい」などです。このため思わしくない状況が続くと、ずるずると承継のタイミングをずらしがちになります。しかし前述のとおり後にしたからといって状況がよくなるとは限りません
親族や従業員、取引先など事業承継を進めるに当たって理解を得なければいけない関係者への影響力も、高齢になってくると小さくなっていきがちです。後継者にとっても、従業員や関係者にとっても、そのような状況での承継では後が難しくなります。事業の再現が難しくなるとM&A売却の場合は買い手が付きづらくなり、良い条件は望めなくなってきます。このため計画した期日は実施段階でずらさないことが重要です。

少しでも現経営者が元気で会社も元気な状況が円滑な事業承継を進めるうえでは重要になります。経営状況に陰りが見える状況であってもあきらめる必要はありません思い立った時点で早く対応することがよりよい事業承継につながります早めに顧問税理士や金融機関、専門家、公的機関などに対しての相談をしましょう